よもぎ餅老母は大正握り継ぐ
あの話出して今宵のとりとする
孫が聞くもったいないって何のこと
播いた種噂となって発芽する
中古でも運転次第よう走る
血圧計はずす保健婦思案顔
婆ちゃんが食べた雑煮の数聞いた
褒められもけなされもせず日は暮れる
名簿からはずれる同窓また一人
猪にお礼を言って稲を刈る
おみやげの包クイズをして開け
雨乞いではやった神も荒れ放題
口だけは年を取らぬと妻が言う
この井戸は噂話の咲いたとこ
杉桧サクラにゃ負けんと花粉撒く
割った皿一度合わせて見て捨てた
願いごと多い割には軽い音
なんぼして気になる祝儀かまをかけ
いつまでも先生古手で通る村
父ちゃんの釣って落したデカイ魚
もったいないバチが当ると言って捨て
女房のホテルの仕草ぎこちない
あの音は短気な人の草刈機
台風が来るかと案じる畑の瓜
天気さえ良ければ曜日はいらぬ日々
風あってこそ美しい旗のぼり
勇作 作品集